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唐下 梨絵
歯の再生療法ってどんなもの?
2023年10月03日

皆さん、歯周組織再生療法ってご存じですか

それは、あるお薬を使って、歯の周りの失われた組織を作り再生するというものです。

そのお薬には、今現在、主にエムドゲインとリグロスという2種類があります。

今回は、保険でできるリグロスについてご説明します。

リグロスとは、細胞を増やす成長因子のことです。

この薬の作用により、歯周病で破壊された歯周組織の周囲にある細胞を増やしたり、血管を作って細胞に栄養を送り込み、破壊された歯周組織の再生を促進します。

【適応症】

歯周病により、歯を支える周りの骨(歯槽骨)が部分的に失われている歯に行います

骨欠損状態は、以下のように分類されます。

1壁性や2壁性では、塗布した薬が、骨欠損部にとどまらず流れ出てしまうため、基本的に3壁性などの深くて狭い垂直性骨欠損に使用されます。

【費用】

 1歯に行う場合、概ね1万円くらいです

【治療の流れ】

歯周基本治療

1.上下の歯の周りの浅い場所の歯石除去を2回に分けて行います。

       ↓1週間後以降

2.歯周検査を行います。

3.部分的に深い場所の歯石除去を、麻酔後に行います

       ↓2週間後以降

4.歯周精密検査を行います。

この結果で適応にあたり必要な場合歯周基本歯周組織再生治療を行います

       ↓1ヶ月後以降

5.歯周精密検査による再評価を行います。

【方法】

1.麻酔

麻酔ができるだけ痛くないように、歯肉の表面の浅い所に、表面麻酔を塗ります。

その後、注射による深い所の麻酔を行います

2.切開

歯肉をメスで切り、開きます。

3.根面洗浄

術部の細菌感染物や不良肉芽組織を除去し、十分に洗浄します。

4.リグロスの塗布

きれいになった術部にリグロスを塗布します。

5.縫合

開いた歯肉を元に戻し、隙間ができないように縫合し、閉じます。

抜糸は、手術日から1~2週間後を目安に行います。

【手術後の注意点】

・術後の歯肉は、感染や傷つきやすいため抜糸するまで、手術部位に触らないようにして頂きます。

・手術当日は、飲食は可能ですが、強いうがいや、飲酒などは控えて下さい。

縫合部が開いたり、治癒の妨げになることがあります。

・その他、手術部位の歯磨きの仕方や時期などの注意点は、歯科医師、歯科衛生士の指示に従って頂きます。

歯周病は、自覚症状の少ない病気です。

気付いた時には進行し、歯がグラグラで残せない(再生療法ができない)こともあります。

その前に気づくには、歯科の定期的な受診が大切です。

早めの受診により、歯周組織再生療法という選択肢が増え、歯を守れる可能性が増えます。

それ以前に、そこまで悪くなることを防ぐこともできるかもしれません。

また、このような外科治療でなく、歯周基本治療やその後のメンテナンスで、歯周病が進行するのを

抑えることも大切なことです。

まずは、歯科検診の受診をしてみては、いかがでしょうか。

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