最近、メンテナンスに来られる患者様の中で、悩みとして、“着色が気になる”と言われる方が、度々おられます。
歯の着色の原因は、いくつかあり、それぞれ対処法が異なります。
そこで、今回は、“家庭でもできる着色予防”について、お話していきます。
◇歯の着色の原因◇
歯の着色は、歯のくすみ・黄ばみの原因になり、口元の印象を大きく左右します。
歯の白さを気にする人が、とても多いですが、歯の着色の原因は、生活の中に隠されていて、日常的に摂取している飲食物が、原因になっている場合もあります。
私も普段から、コーヒーを飲む習慣があり、朝、目覚まし代わりに飲んだり、仕事の合間に、コーヒーで一息入れてホッとしたりしています。
インスタグラムなどのSNSのおかげで、お洒落なカフェやコーヒースタンドを目にする機会も増えてきました。
一方で、そんなホッとするための一杯が、歯の着色“ステイン”の原因になってしまうことがあります。
ステイン【Stain】とは、英語で「しみ・汚れ・染色」という意味です。
歯の表面にステインが蓄積する事によって、だんだん歯が茶色くくすんでいき、汚い歯の印象に繋がります。
ただし、これは、コーヒーの色がステインとなり、そのまま歯にこびりついて着色してると思いがちですが、着色するメカニズムとしては正しくありません。
ではなぜ、歯に着色がつくのでしょうか?
歯の表面には、“ぺリクル”という薄い膜があります。
ぺリクルには、
★歯の表面の保護
★虫歯菌が作る酸によって、歯が負ったダメージを「再石灰化」で修復する
といった役割があります。
しかし…歯の着色汚れについては、このぺリクルがネガティブな働きをします。
食事をすると、口の中は酸性に傾き、この時ぺリクルは溶けて剥がれていきます。
でも30分もすれば、元の中性に近い状態に戻り、ぺリクルもまた再び、歯の表面を覆うことになるのですが、ここで、お口の中の食べ物や飲み物の着色成分が残っていると、ぺリクルは、それも巻き込み歯の表面を覆うことになる為、着色として残ってしまうのです…。
一回の付着は、非常に少ないのですが、歯磨きを怠ったり、磨き残しがあると、次第にぺリクルが強固なものになり、その分着色も目立つようになります。
また、よく耳にするタバコの「ヤニ」等は、直接菌に染みつくので、頑固なステインになります。
◇歯の着色予防◇
ステインは、長い年月の間に蓄積される為、毎日のケアで蓄積させないようにすることが大切です。
「歯磨きにより直接ステインを取り除く」「ステインの元を洗い流し付着を防止する」を日々行うことで、歯の自然な白さを取り戻しましょう。
そこで、一番肝心なのは日頃からのケアです。
後から頑張ってどうにかするよりも、日頃のケアで予防をする方がずっと楽ですよね!
今から日常的にできるちょっとした着色予防の方法を、ご紹介していきます。
①ゴシゴシ磨きをしない!優しい歯磨きを実践
汚れを落とすために力を入れすぎると、歯の表面に傷ができます。
表面にできた細かい傷に、食べ物の色素や汚れが入り込んでしまうと、落としにくい頑固な汚れに変わります。優しい歯磨きを心掛けましょう。
②食後のうがいを心掛ける
着色しやすい食べ物を口にしたとしても、すぐにステインになるわけではありません。
食後すぐにうがいをすることで、口内の色素を洗い流すことができます。
③ガムを噛んで、唾液の分泌を促す
唾液には、口内の汚れ・細菌を洗い流したり、殺菌したりする働きがあります。
ガムを噛むと、唾液の分泌を促すことが出来るため、着色予防・虫歯予防の効果があります。
その他に、歯を白くする歯磨き粉は、スーパーや薬局で気軽に購入できますが、種類が多く困ってしまうことはないでしょうか?
そこで、参考としてご紹介させていただきます。
歯磨き粉の裏に記載している成分表をご覧ください。
ステインを落とす成分として
☆ピロリン酸ナトリウム
☆ポリリン酸ナトリウム
☆メタリン酸ナトリウム
などがあります。その成分達が、ステインを落としてくれる成分になります。
また、タバコが原因の着色の場合は、☆ポリエチレングリコールも有効です。
是非、本来の白さを取り戻したいという理由で、歯磨き粉をお探しの方は、参考にしてみてください。
それでも、セルフケアだけで、着色をゼロにするというのは、現実的には難しいこともあります。
だからと言って、コーヒーやチョコレート、赤ワインなどの着色がつきやすい飲食物を、「歯が汚れるから」という理由で、摂食回数を減らすのはストレスにもなります。
そこで、着色が目立ってきたな、と感じたらぜひ、歯医者さんで定期的なメンテナンス(PMTC)を受けてみてください。
清掃後は、頑固な着色汚れが落ち、ツルツルになった歯の表面を実感できるはずです!
着色がつきやすい飲食物をやめるのではなく、上手につきあっていくためにも、正しいケア方法を知っておくことが大切です。
今回は、歯の着色についてお話いたしましたが、着色の原因には、他にも様々な要因があります。定期的なメンテナンスにて直接、その人その人にあったニーズを少しでも改善できたら幸いです。