赤坂デンタルオフィスからのお知らせ

がん患者の口腔ケアについて

UPDATE : 2012/12/10


金子 宗嗣

平成24年11月29日少年科学文化会館で開催されたがん患者歯科医療連携協力医・スタッフ講習会に参加したので、それをもとに「がん患者の口腔ケア」について報告します。

以下4つに分類し説明します。参考になれば幸いです。

@ 頭頸部がん・食道がんの外科手術による術後合併症と口腔ケア
頭頸部がんの術後合併症には口腔内の不潔部位と、頸部の清潔部位が術野に混在することによる創部感染などがあります。食道がんの術後合併症には嚥下機能の一時的な低下、呼吸機能の低下・痰喀出の低下、誤嚥性肺炎などがあります。
がん周術期に口腔ケアをおこなうことで、これらの術後合併症の発症率がケアを行っていない群に対して大きく改善されています。口腔ケア内容は術前2週間~前日までに虫歯や歯周病などの一般歯科治療を済ませておき、セルフケア習慣化の指導を行います。術後口腔内の唾液吸引とスポンジブラシによる粘膜主体のケアが中心となります。

A がんの薬物療法による口腔粘膜とケア
がん治療において、抗癌剤は重要な役目を果たしています。しかし、抗癌剤はがん細胞を殺す一方で正常細胞にもダメージを与えます。特に分裂が活発な細胞に影響が大きいとされます。薬物量による口腔トラブルには、口内炎、口腔感染症、ヘルペス、カンジダ、歯肉出血などがあります。これらの口腔トラブルのケアは基本的にセルフケアが中心となります。歯ブラシなどでの口腔内清潔保持、うがい薬による口腔内保湿、また疼痛の大きさに合わせて鎮痛剤、医療用麻薬などを用いるなどです。また食事においても、熱いものは避ける、刺激物を控える、食べやすい形状にするなどの工夫を指導することが重要です。

B 頭頸部領域のがんへの放射線療法による口腔乾燥症とケア
抗癌剤と同様で、放射線照射によりがん細胞を殺す一方で、周囲の正常細胞にもダメージを与えます。特に頭頸部領域の癌で口腔内が照射野に含まれると、口腔トラブルの発症率は100%といわれています。放射線療法による主な口腔トラブルには口内炎、味覚障害、口腔乾燥、ヘルペス、放射線性骨髄炎などが挙げられます。なかでも口腔乾燥症は放射線照射により唾液腺組織が障害されることにより発症し、特に耳下腺部が照射野に含まれると必発するとされています。また照射量が大きくなると永続的な唾液腺機能障害が起きるとされています。これに対しては薬物療法と同様に保湿剤の使用が必要になり、また口腔のセルフケアを心がけるようにします。また放射線性骨髄炎は放射線治療を受けた後に、抜歯などの外科的処置を受けた際にどれだけ時間を経過しても、高確率で発症するとされています。術前に歯科受診し先に外科的処置を済ませておく必要があります。

C がんの緩和医療における口腔トラブルとケア
がんが進行すると体力が低下し、セルフケアが困難になり、食事も少しずつ不自由な状況が生まれてきます。さらに向精神薬、安定剤の投与、酸素吸入、ステロイド投与の影響から、口腔乾燥や口内炎、カンジダ症などの口腔トラブルが発症します。しかし、この時期には積極的な病状の原因解決を行うのでなく、苦痛となる症状の緩和を目的とします。つまり最後までお口で自然とモノが食べられる状態を目標とします。そのためにセルフケア、保湿などを主とし。歯科治療など患者の負担になる処置は出来る限り行わないようにします。